装甲版の角度の勘違い

少し前にダンジョンアーミーの戦車のステータス設定をしている人からの報告で分かったのですが・・・

パトルの軍事博物館などで僕が設定したステータスに、1つ大きな勘違いがありました。

 

問題なのは戦車の防御力です。

現代戦車はちょっと例外になるのですが、昔の戦車は装甲板が傾斜しているほど、同じ装甲の厚さでも防御力が高くなります。

そのためパトルやダンジョンアーミーでは、傾斜角度を込みでステータスを設定していました。

ところが1つ勘違いしていました。

データベースサイトで、装甲版の角度が「R」と記述された兵器が複数あるのですが、それを僕は数学の記号の∠R(直角)と解釈していました。

しかし角度にRが割り当てられた箇所は、T34の砲塔など直角とは思えない箇所でした。

丸っこい砲塔に正面からあたれば、実質的に直角になるのでRだと勝手に思っていたのですが・・・

 

工学の知識があるステータス設定担当者

「Rは機械工学の用語で曲面です。

主に図面などで「R25」(=半径25[mm]の曲面)のように表記されます。
ああいった板状の物が(地面に対して)直角な場合、「垂直」又は、「鉛直」(共にvertical)と表記されます。

角度がRの物に関しては近似値として45度と仮定してステータスを設定しました。」

 

さすが専門家だ!

という事でダンジョンアーミーで新たに設定しなおす、T34などの防御力は今までより高くなります(笑)

なくしていた戦車の本が見つかった

去年の6月にヨーロッパを旅行したときに、フランスの軍事博物館で買った戦車の資料本が、ひさびさに見つかりました!

買った直後になくしてしまったので、おおよそ1年ぶりの再開です。

 

WWII Tank Encyclopaediaという、第二次世界大戦の各国の戦車の塗装パターンを500個のイラストでひたすら紹介している本です。

http://www.armorama.com/modules.php?op=modload&name=Reviews&file=index&req=showcontent&id=3102

 

40€と結構高かったのですが、資料としては便利なので将来お世話になることもあるかもしれません。

 

やはりメインになっているのはドイツで、4号戦車だけで12ページ、36個イラストが載っています。

目次のページに載っているイラストがハ号戦車なのですが、日本の戦車に割り当てられているページ数は176ページ中の3ページです(笑)

変わったところでは中国軍のルノーFT、1号戦車、M4シャーマンの塗装パターンなども載っています。

 

謎装甲の戦車

戦車というものは、基本的に前面が最も装甲が厚く、側面、背面、上下面と薄くなっていくのが普通です。

ところが戦車が発達した第二次世界大戦以降の戦車でも、その原則に当てはまらないものもあるようです。

 

タンクテクノロジーという戦車工学系の本によると・・・

M24チャーフィーの装甲は、前面24mm側面24mm背面24mm上面24mmと見事なまでの箱戦車(ただし部位によって違うよう)。

T72の砲塔は、前面275mmに対して側面は290mmだそうです。

 

しかしこの本は装甲版の板厚例のリストの選択がいろいろと面白いです。

リスト一番上に書いているのが何故かシャーマンジャンボ!http://combat1.sakura.ne.jp/M4A3E2.jpg

2番目に載っているM26パージングより装甲が厚い、なんちゃってシャーマンです(笑)

戦車に対する榴弾砲(曲射)、爆弾の威力メモ

今日は大阪府立博物館で軍事系の本を読んできて、パソコンに打ち込んだほうがメモが早ということで、ブログの方に下書きとして打ち込んでいました。

せっかくなので、それを公開します。

参考資料:ティーガー 下巻 無敵戦車の伝説

※リンク先は上巻になっています。

 

 

・ソ連砲兵のティーガー戦車に対する攻撃の例

1.ソ連の重砲弾で砲塔上面が貫通され、ハッチは二つに割れて車内に落下、砲塔はぐらぐらになる。中の人は気絶または死亡。

2.ソ連の野砲で上面に貫通穴が開いたティーガーの写真

※他にもソ連の重砲弾により損傷という文章は多数あった

 

・イタリア戦線における米軍15.5cm砲によるティーガーへの攻撃

1.重砲弾を一発くらったが前進を続けるも、さらに一発をくらい炎上

2.前面装甲版に命中し操縦手が重症、停止したところをさらに機関室に当たり炎上、そして脱出後30秒ほどで爆発

 

 

・ノルマンディー戦における連合国の2100機の爆撃機によるティーガーへの攻撃のケース

1.爆弾片をうけてがたがたになる

2.直撃弾を受けて、炎上し全員死亡

3.超大型爆弾の爆発で浮き上がり逆さまに、乗員の2名が戦死(残りの乗員は気絶)

 

・シュツルムティーガーによるシャーマン戦車への攻撃

1.数量のシャーマンの真ん中に撃ち込んだら、全機行動不能になり、乗員は死亡または負傷。

※シュツルムティーガーの砲弾の炸薬量は125kg。歩兵などの目標に対しては一度撃ち込むと、相手は放心状態から立ち直るのに1時間ほどかかる。また撃つとシュツルムティーガーの近くの人は気絶してしまう。

大阪府立図書館もミリタリー系の本が多い

大阪府立中ノ島図書館に行ってきました。

この図書館は経済関係に特化した図書館で、普通の人が行ってもつまらないのですが・・・。

使い方によっては、軍事系の本を大量に借りることができます。

東大阪にある中央図書館から本を取り寄せてレンタルできるというのがミソで、この中央図書館に沢山軍事系の本があるのです。

 

とりあえず資料用として・・・

兵器最先端 5 歩兵師団

世界兵器図鑑 アメリカ編 拳銃・小銃・機関銃・その他の火器

世界の軍用銃 第一次大戦の軍用銃から最新軍用銃までの仕組みと運用法がわかる 世界の傑作機別冊

拳銃・小銃・機関銃 日独伊・米英ソ歩兵兵器 第二次世界大戦ブックス

を予約してきました。

蒸気機関の戦車 戦車工学より

1937年にソ連で出された戦車工学の、戦車用発動機に関して面白い記述があったので書いてみます。

さすがにソ連の本だけあって、現在(1935年ごろ)の技術で最も戦車用に適した発動機はディーゼルエンジンであると述べています。

経済的で火災の危険性もすくない事が理由として挙げられています。

 

一方こんな面白い論説が書かれています。

以下それを簡単にまとめてみました。

※僕が読んでいるのは1943年に出された日本語版です。

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最近安全な高圧蒸気機関(100atm以下)を有する蒸気機関が現れ、操縦と調整の自動化の問題が解決された。

この場合排気の為の凝縮機も用いられるようになり、戦車に対して蒸気機関を利用してはとの問題が持ち上がっている。

蒸気機関は回転力が一定なので変速機の必要がなく急速に加速ができ、取り扱いも極めて簡単、従って極めて軽快に走ることができる。

静かな回転、迅速な逆転、過負荷でも長時間使える、ガソリン機関より寿命が長い。

これらの事は蒸気機関が戦車に課せられた戦術的技術的要求に対して最適である事を示す。

ルノー工場では400kmの行動能力がある蒸気機関付きの8t戦車を作っていると報ぜられている。

またイギリス及びチェコスロバキアの戦車にも用いられていることが知られている。

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蒸気機関で動く戦車というのは初めて聞きました。

しかしその後の第二次世界大戦でそんな戦車が活躍した事など聞いた事がないので、大きな問題を抱えていたのでしょう。

 

なお戦車工学は、大阪府立中央図書館にも置いています。

個人貸し出しは禁止みたいですが、閲覧はできるようなので、近くに住んでいる人は探してみると面白いかもしれません。

戦車砲の威力 戦車工学より

1937年にロシア語版が出版された戦車工学から、戦車砲の威力についての文章を一部書き出してみます(参考文献は1943年の日本語版)。

その前に以前クリスティー博士が書いた本といいましたが、よく読むと編纂者がクリスティーとなっており共著にロシア人が沢山ならんでいるので、実質的に中を書いたのはロシア人かもしれません。

どうもクリスティーサスペンションのクリスティーではなく、同名の別人のようでした。

クリスティーサスペンションの方の人は「ジョン・W・クリスティー」で、この本の人は「エム・カー・クリスチー」となっています。おそらくソ連の研究者でしょう。

 

戦車の火砲の弾道学的特性を判断するための材料は次の通りだそうです

A口径 B初速度 C砲口エネルギー(砲弾の運動量) D砲弾重量の横断面に対する比(横断面荷重)E射撃速度と射撃命中率

口径を増すと貫徹能力は、口径の2乗に略比例(略比例ってなんだ?)して増加する。

砲口エネルギーは初速の2乗

貫徹能力は砲口におけるエネルギーに比例する

砲弾の飛行中の速度の低下は横断面荷重に逆比例する

空気抵抗とかの複雑な計算式がいろいろのっているけれど。分けがわかりませんでした。ごめんなさい。

 

それとは別に「発射力」なる値を出す計算式がありました。

どうもこの発射力というのは、砲弾の仕事率(馬力)のようです。

計算式は次の通りです

□□□□□Pvⅲ
N=     ────
□□□□36Ldg

P 弾丸の重量(kg)

v 初速度(m/s)

L 口径であらわした砲身長

d 火砲の口径(dm) dm=10cm?

g 重力の加速度

ⅲ 3畳

□はレイアウト調整用のスペース

 

 

なんでも・・・

P 0.67

v 820

L 40

d 37(mm)

という37mm対戦車砲の発射力は70800馬力・・・だそうです。

ちなみに100mm砲だと610000馬力。

 

うーん・・・

 

ちなみに現代型戦車用火砲の例として、20mmが最初にリストに出るのがなんだかシュールです(笑)

 

 

ちなみに前の日記のコメントに書いた2連装の自走砲はこれです。

戦車工学

※メルマガのバックナンバーは、ブログではなく秘密のページから見れるように変更しました。

 

こちら昨日は卒業した大学の図書館に、経営関係の本を借りに行ってきました。

在学中は試験やレポートがある時ぐらいしかいかなかったのですが、経営関係の本だけで数万冊あるため、3月からちょこちょこ利用しています。

しかし今回大学の図書館のとんでもない優秀さに気がついてしまいました。

 

書籍検索で「戦車」、「戦闘機」、「軍事」、「兵器」、「戦争」とかそれっぽいキーワードを入れれば出るわ出るわ、なんで大学においているのか分からないような数百冊の本の群れ。

 

まず映像資料として何故か「鬼戦車T34」

http://www.saturn.dti.ne.jp/~rus-eiga/arc/films/o/onisen34/index.htm

のビデオがあったり・・・

 

書籍はある意味さらに凄くて、書店では絶対おいていないような物までありました

日本兵器工業会三十年史

クルップ : ドイツ兵器王国の栄光と崩壊

総力戦時代のドイツ再軍備 : 軍事財政の制度論的考察

 

そして今回借りてみた本は・・・

「戰車工學」

もう何が凄いかといえば、表紙の執筆者からしてとんでもないです。

 

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エム・カー・クリスチー教授編纂

スターリン統下勞農赤軍機甲化陸軍大學教官

アントノーフ・アー・エス

・・・

・・・

人物名が竝ぶ

・・・

・・・

・・・

共著

ソヴィエート社會主義共和國連邦重工業人民委員部科學技術出版部出版

モスクワ・レニングラード

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そう、T34戦車などに使われているクリスティーサスペンションを開発した、クリスティー博士が書いた本なのです!

日本での翻訳版は皇紀2603年3月8日出版と書かれています。つまり1943年です。

貸し出し記録を見ると、1946年、1990年、1994年に借りた人がいるようです。

 

本の中身ですが、戦車を設計する際の技術的な本となっています。

マニアックすぎて・・・というより工学の専門書なのでほとんど理解不能です。

水陸両用戦車の排水量や水上旋廻半径を求める方程式とか載っています(笑)

技術的な部分以外では戦車に求められる性能について述べられていたり、世界各国の戦車のスペック一覧表のふろくがついていたりします。

 

「おお、今の戦車の解説本みたいだ」と思われるかもしれませんが、舐めてはいけません。

 

日本の戦車に「オーサカ」(制作年1928年)という中戦車があったり・・・

イタリアの戦車に、「新式重戦車」なる謎の名前が載っていたり・・・。

 

今後は軍事関係で面白い事が分かれば、メモもかねてブログに載せていこうかなと思います。

 

※追記

後で確認したところ、この本の編纂者のクリスティー博士は、アメリカのクリスティーサスペンションの人とは別人だと分かりました。