蒸気機関の戦車 戦車工学より

1937年にソ連で出された戦車工学の、戦車用発動機に関して面白い記述があったので書いてみます。

さすがにソ連の本だけあって、現在(1935年ごろ)の技術で最も戦車用に適した発動機はディーゼルエンジンであると述べています。

経済的で火災の危険性もすくない事が理由として挙げられています。

 

一方こんな面白い論説が書かれています。

以下それを簡単にまとめてみました。

※僕が読んでいるのは1943年に出された日本語版です。

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最近安全な高圧蒸気機関(100atm以下)を有する蒸気機関が現れ、操縦と調整の自動化の問題が解決された。

この場合排気の為の凝縮機も用いられるようになり、戦車に対して蒸気機関を利用してはとの問題が持ち上がっている。

蒸気機関は回転力が一定なので変速機の必要がなく急速に加速ができ、取り扱いも極めて簡単、従って極めて軽快に走ることができる。

静かな回転、迅速な逆転、過負荷でも長時間使える、ガソリン機関より寿命が長い。

これらの事は蒸気機関が戦車に課せられた戦術的技術的要求に対して最適である事を示す。

ルノー工場では400kmの行動能力がある蒸気機関付きの8t戦車を作っていると報ぜられている。

またイギリス及びチェコスロバキアの戦車にも用いられていることが知られている。

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蒸気機関で動く戦車というのは初めて聞きました。

しかしその後の第二次世界大戦でそんな戦車が活躍した事など聞いた事がないので、大きな問題を抱えていたのでしょう。

 

なお戦車工学は、大阪府立中央図書館にも置いています。

個人貸し出しは禁止みたいですが、閲覧はできるようなので、近くに住んでいる人は探してみると面白いかもしれません。