「錬電術師で死にかけるまで」感想

不機嫌亭ゲーム班が出した同人誌

『 Why did we DeathMarch on 同人ノベルゲーム ~錬電術師で死にかけるまで~ 』

http://hexaquarker.com/wdwd_shokai.html

を読んだので、その感想です。

 

まずこの本の内容ですが、同人ゲーム製作サークル「不機嫌亭ゲーム班」が、ゲームを作っている時にぶちあたった様々な失敗が書かれています。

ダウンロード販売サイトの一週間目の売り上げを見て、こりゃいけると機材を買い込んだとたん、販売サイトのトップからゲームが外れて売り上げ激減。

どんどんゲームを豪華にしようとしたら、製作期間が間に合わずに大変な事になったり。

メンバーの連絡がうまくいかなくなったり、健康を害したり・・・。

 

同人ゲームを本気で作っている人なら、気をつけないといけない問題が沢山です。

そしてそれをどうすれば回避できるのか、他のサークルはどんな感じで対策を立てているのかについて述べています。

特に複数人でチームを組んで作る場合は、参考になる内容が多いです。

 

個人的に共感したのが、ボリュームを2倍にしたら製作期間は2倍じゃすまないという話です。

「なんで?」と思うかもしれませんが、大ボリュームのゲームになると、ゲームそのものの製作も大変ですが、ゲームデザイン、バランス調整、バグチェックが恐ろしいことになるのです。

 

まず長いプレイ時間にも耐えうる、それ相応のシステムやストーリーを用意する必要があります。

そして全編を通して、遊び手ごとに違うプレスタイルを考慮しつつ、破綻しないバランスを設定しないといけません。長いゲームだと、プレイヤーによる差が大きく出るので、バランス調整が難しくなります。

さらにバグの発生確率が短いゲームに比べて飛躍的に増えます。

 

こちらの買い物作戦、伏竜、桜花、アンティカB型はいずれも公開後はバグの修正はほとんど行っていません。

それに対して、アンティーカロマン、パトル、ノイアーは相当回数のバグの修正を行っています。

バグの数が、作者とテストプレイヤーで発見できる限界を越えてしまうのです。

 

 

※追記

短いゲームは短いゲームで、うまくまとめたりネタを考えたりするのが大変ですが・・・

「「錬電術師で死にかけるまで」感想」への7件のフィードバック

  1. サンプルのところチラッと見ただけですけども、
    考えさせられますね。

    興味わいたので今度探してみます。

  2. DLsiteの日数経過による販売実績の落ち込みはかなり早いですからね…

    一応こちらで暫定的に「初日10本は初週約40本・初月約115本・初年約200本」と目安を定めましたが
    これはR18作品の話で、一般向けだともっと早く減退する傾向にあります。

    ノイアーときせかえアラマキBを見た感じだと
    全年齢は「初日10本は初週20本未満」といったところですかね…

    全年齢はR18とは違って宣伝する場所をあまり選ばないので、
    ディーエル以外に独自の宣伝ルートが欲しいところですね。

  3. ノベルゲームって作るのが一番簡単そうな印象があったんですが、それでもかなり大変なんですね。
    文章さえできればあとはたいした作業じゃないと思ってました。

    ところで同人サークルの人達は副業(趣味?)として作品を作っている人が多いのですか?
    ひぐらしのなく頃にの様な大ヒットならともかく、
    普通の売上では生活しながら制作費を捻出するのは難しそうに見えます。
    しかもサークル内で利益を分けなければなりませんし。

  4. >野家さん
    同人サークルの9割は赤字サークルだそうなので、
    大部分の人は趣味と割り切ってるんではないでしょうかね。

    稼ぐ事前提ならよほどの才能か何か有利な要素がない限り、R18作品でないと
    生活費を稼ぐのは難しいように見えます。

  5. ひよこ13さん、ありがとうございます。

    黒字(予想)のサークルと言うと犬と猫でしょうか。
    売上ランキングの上位に常に複数作品が入っているので、
    あのサークルがもし赤字なら同人サークルで黒字を出すのにどれだけ売ればいいのか想像が付きません。
    絵柄や会話内容が腐女子向けっぽい点が気になりますが、
    ゲームとしては面白い物を作り続けていてすごいサークルだと思います。
    しかし一番面白いのはフリーゲームのレミュオールの錬金術師というのが・・・

  6. 犬と猫の「ハーベストグリーン」は2009年にディーエルサイトで約2100本売れてます。
    2009年中のディーエルサイトだけで考えた場合、
    販売価格1050円なので売り上げ(サークル取り分)は120万〜140万円ぐらいですね。

    結構制作に参加してる人数は多いと思われるので、
    赤字にはなってないにせよこれで生活できるかと言われればかなり厳しいでしょう。
    犬と猫自体知名度が結構高いので他のダウンロードサイトでもある程度売れているとは思いますが…

    仮に一人で素材を全部自作していて、開発期間一年程度だったとしても
    地方の派遣労働者の年収と大差ないです。

    ところがR18作品のほうは年間どころか月間で1000本突破してしまう作品が結構多くて、
    25枚程度のCG集(制作期間半年以下?)で700円ぐらいの価格でも
    作品によっては公開初日に300本売れたなんて事もあります。

    そんなわけで、自分はR18作品を現実点な資金源にして
    全年齢作品を「本当にやりたい事」と位置付けています。

  7. >サンペさん
    書いている人はいろいろ修羅場を味わっているだけに、説得力があります。即売会はどうしても関東になってしまうらしいので、関東の即売会に参加できない場合は委託販売を使うことになります。

    >ひよこ13さん
    成人向けの宣伝方法はまったくの謎ですね・・・。
    しかしノイアーの場合でもそうですが、体験版をやらずにいきなりダウンロードしていると思われるプレイヤーに驚かされます。
    もし体験版をやっているのなら、ダウンロード先はグレバになるはずです。

    >野家さん
    大変同人ゲームで生活するのは難しいです。
    こちらは経営センスを磨くのと、親を当てにした恵まれた資金環境で勝負する事になります。
    3年の期限で、なにはともあれ全力を出してやっています。

コメントは停止中です。