知り合いの同人ゲーム製作者が、各ダウンロード販売サイトの情報をまとめてくれました。それに一部僕の見解を加えたものをここに書きます。
■DLsite.com
掛率は基本6割(販売額1000円→サークル手取600円)
価格が高くなるほど、割が良くなる。
ゲスト購入可
クレジット、コンビニ決済、BitCashEXほか
アフィリエイト対応
・同人ダウンロード販売最大手ということで知名度が高い
・販売数は他を圧倒
・審査が比較的厳格で、販売前に不具合を見つけてくれることもある
・言い換えると、登録を完全に拒否される事も……。
・登録サークルが多く作品が玉石混交となるため埋もれやすい
・ネットゲームの支払いで利用度が高いWebMoneyが使えない
■DiGiket.com
比較的サークルサイドに有利なサイトです。
掛率は基本7割
ゲスト購入可
クレジット、コンビニ決済、G-MONEY、NETCACH、BitCachEX、WebMoneyほか
アフィリエイト対応
・ダウンロード販売古参のため比較的知名度が高い(DLsiteの半分程度?)
・比較的同人ソフトに強い
・審査は甘く、ほとんど即日販売開始
・常時消費税還元キャンペーンを行なっているため実質販売価格が安い
・WebMoneyは一般向け作品専用
■DMM.com
掛率は基本6割
クレジット、コンビニ決済、BitCachEXほか
アフィリエイト対応
・過去にDLsite.comと提携していた関係でそれなりに知名度あり
・FX取引など企業としての知名度は上がってきている
・ただし最近は動画配信やDVD販売など実写部門がメインになりつつあり
・実質的に会員登録が必須
・18禁ゲームだと意外に売れるという話も聞く。
・こちらも販売審査がDLsite並に厳格。
・全年齢作品も登録可能だそうだが、実際には皆無。
■Melonbooks.com
掛率は基本6割
ゲスト購入可
クレジット、コンビニ決済、G-Money、BitCachEXほか
アフィリエイト対応
・同人誌販売大手のメロンブックスのダウンロード販売部門
・同人誌には強いがソフトは微妙?
ほかにも何箇所か同人ダウンロードサイトに登録していますが、後発の販売サイトはやはり知名度の点でDLsiteなど大手には及びません。知名度という点ではvectorが最大手・最古参ですが、あそこはフリーツール系がメインなので、同人ゲームは居場所がないですね。また法人じゃない限り、クレジットカード決済しか対応してくれないのも問題です。
■決済手段について
クレジット以外の支払い方法はコンビニ決済(通知番号を持ってコンビニへ行き、端末から支払い用紙を受け取りレジで支払い)、もしくはプリペイドが基本かと思います。プリペイドはネットゲームではWebMoneyが強いですが、ダウンロード決済ではBitCach(EX)が基本になっているようです。
■ゲスト購入について
基本的にどこの販売サイトも会員登録しなくても購入できる「ゲスト購入」の制度を設けています。ただ、ゲスト購入の場合はダウンロード失敗時の再ダウンロード回数や期間に制限があるのが基本のため、後日バージョンアップ版を再アップした場合に取り直しができないデメリットがあります。
同人誌や動画などはともかく、同人ソフトの場合は不具合修正などのバージョンアップが行なわれることが普通なので、登録なしでの購入は必ずしもメリットになるとは限らないかと思われます。そのあたりがゲームソフトという特性ゆえの足枷とも言えそうですが。
ダウンロード販売サイトを初版販売のみに使い、バージョンアップなどのサポート体制は開発側で整えておくという方法もありますが、購入者にとっては二度手間になる点も考慮が必要かと思います。また、販売サイトで行なわれるプロテクト処理は利用できません。
そのほか、ヘビーユーザーほどダウンロード販売サイトで会員登録を行い、ポイントの蓄積やまとめ払いのシステムを利用する傾向があるようです。こちらでも販売開始が早いDiGiketで販売が始まっていても、DLsiteでの販売を待っているという方が散見されました。
■パッケージ販売について
パッケージ(箱、ジャケットなど)そのものをコレクションの対象としているユーザーの方もいるようです。こちらにもダウンロードを利用せず直接通販で毎回パッケージ版のみを購入される方が何名かおります。中身だけ楽しみたいというライトユーザー層とは別枠になるかと思います。
◆その他コツ
販売店によっては、他店での販売をしない「専売」を条件に、手数料を割高に設定してくれるところもあります。ただ売出し中のサークルにとっては販売機会を増やすほうが先決なので、専売は名の売れたサークルでないと手を出しにくいですが。
1箇所のみの登録では万一閉店してしまった場合に販売機会が失われてしまいますので、リスク分散のほか、販売機会の拡大という意味でも、同一作品を複数の販売店に並行登録しておくのがよろしいかと思います。
あまり多すぎるとかえってユーザーに敬遠されるかもしれませんが。登録の手間もありますし。
現在、こちらはDLsite、DiGiket、DMM、Melonbooks、Gyuttoを利用中、物販はとらのあなを利用しています。以前はelfics、デジぱれ(LLパレスのDL部門)も利用していましたが、elficsは倒産、デジぱれは事業終了となってしまいました。利用者が多く安定している大手以外はこういうリスクもありえます。在庫不要なダウンロード販売とはいえ管理費などはかかるでしょうし。こちらの個人情報や作品データを提供する以上、やはり業者の信用度も重要な選択要素かと思います。
ちなみにこれら販売店の選択理由ですが、DLsite、DiGiketはダウンロード販売を考えた時点ですでに草分け的存在だったため、(いわばデフォルト)DMMはDLsiteとの提携があった流れで。Melonbooksはそれ以前から同人誌(書籍)販売で取引があったため。Gyuttoはelfics倒産のあと代わりを探しているとき、たまたまコミケで勧誘されたため。(いまもチラシを配ってます)ちなみに、elficsはメールでの勧誘を受けて。(当時はダウンロード販売店はまだ少なかった)デジぱれは他サークルの利用傾向を見て。ほかにもいくつかの業者から勧誘を受けていますが、やはり後発の新規業者はリスクを考えると手を出しにくいです。
もちろんこのほかにも多数のダウンロード販売店があります。どの販売業者が適しているかは一概には言えませんが、同じような活動傾向の別サークルがどこを利用しているかを見て参考にするのもよろしいかと思います。販売店ごとに客層も違っているようですし。
DLsiteの一般向け作品でも1000本単位で売れている作品もあるので、結局は内容とアピール力次第なんでしょうけど。
■ダウンロードとパッケージ
おそらく普段ダウンロードを使わない人はイベントなどでの入手ができない場合の代用として登録なしでのスポット購入を利用するのではないかと思います。逆に、普段からダウンロードを利用している人は基本的にダウンロード購入を優先するようです。
■その他見解
特に18禁の場合は、DLsiteの販売本数が他を圧倒します。ただDlsiteは日にちが経つと、他の作品に埋もれてしまうため、初動勝負になります。初動でうまく売上上位に入ればランキングに表示されるので多少目立つことができます。そこで販売初期はDLsiteに、公式サイトからのアクセスを集中させるのがいいのではないかと思います。ただ同人誌即売会やパッケージの委託販売は客層が違うため、同時にやっても特に問題ないと思われます。