ある方が日記に次のような事を書いていました。
「自作ゲームで生活するため、ゲーム制作に集中したいけれど、現状は生活のためにアルバイトせざるをえない。
今頑張っていらっしゃる方々はいくらぐらい貯めてから仕事と縁を切って活動されてるか少し気になります。
いくらぐらいが目安かわかれば、自由への道を選ぶ気持ちを後押ししてくれるかもしれませんし、思い留まって今の仕事を頑張るための活力になるかもしれません。」
そこで同人ゲーム、インディーズゲームで生活することに成功している2名の方に・・・
・自作ゲームだけで食っていくと決断した時にどれぐらい備えがあったか。
・自作ゲームだけで食べていける自信はどれぐらいあったか。
という事についてインタビューしてみました。
まずは成人向けゲームの製作で生活している方です。
非常に具体的な金額やノウハウまで語っていただきました。
名前は本人の希望で伏せています。
———————-成功者Aの解答———————-
◆前提として言えること
まず専業同人で食べて行くには、ただゲームを完成させるだけでは不可能だと思います。
それこそ全年齢となれば、食って行く事すら不可能な気さえしますので、
前提として18禁ゲームを作った場合のみに限らせてもらいますね。
先ほども言った様にただ作品を完成させる事以外で重要な要素は、
・最低限のクオリティを保つ(9割方CGのクオリティを意味します)
・コンスタントに作品を発表する
(・コミケには必ず出る、二次創作ならオンリーにも積極的に)←小遣い稼ぎ的に必要w
そこにプラスαとして、ノウハウ、人脈などが必要だと思って下さい。
これは直接必要ではありませんが上記の2つに密接に関係してくることなので、
あればある程有利になります。
◆必要な資金の目安
以上、これを前提条件とした上で必要な軍資金は、約100万だと思います。
最低限これだけの蓄えがあれば1~2本分のゲーム製作は出来ると思います。
ただ、それが売れるかどうかは出してみないとわからないので、
とりあえず1本働きながら製作してみて
これならいけると判断した場合のみ仕事をやめるという手段を取った方がいいとは思います。
◆資金をどう回していくか
極端な話になりますが、ゲーム製作に費やせる資金が毎月10万手に入るのであれば、
働きながらでも製作は可能です。実際、僕も1作目を出した時は働きながらでしたので。
コミケ毎に1作品を発表するとなれば、半年で60万になりますよね。
それだけで約1本分の制作費は稼げていますし、
実際外注さんに月10万円以上を払うケースは少ないからです。
仮に10万を超えそうだと思うのなら、作業を止めて来月に回してもらうことも出来るので、
その辺コントロールすれば蓄えはなくても出来るんじゃないかなーと思います。
その代わりプライベートはすべてゲーム製作に時間を割くことになると考えてくださいw
◆売るために大切な2つの事
あと「最低限のクオリティを保つ」「コンスタントに作品を発表する」の2件について目安を。
最低限のクオリティとは、同人流通会社の方から、
あなたのゲームを取り扱わせてくださいと連絡がくるレベルだと思ってください。
出来れば上記のパターンが一番良いと思いますが、
こちらから連絡して取り扱ってもらうことも可能です。
ですが、その場合審査がありますので、そこで落ちた場合は、
流通会社が売れないと判断したことになるので、クオリティが足りないという事になります。
※同人流通会社
アイ・スタジオ(http://www.istudio.jp/)など全国のショップに同人ゲームを流通させてくれる会社。
「コンスタントに作品を発表する」については、現状うちが出来ていないのでなんとも言えないのですがw
とにかくコンスタントに作品を出す→サイトなりなんなりで情報が取り扱われる
と言った流れになりますので、直接的に売上と関係してきます。
特にDL販売では公式からの購入が半数を占めます。
サイトのアクセスが減れば減るほど毎月の売上が減っていることもわかるので、
新作を出せば前作も売れる相乗効果が期待できます。
◆実際にどれだけの資金を蓄えてから専業になったか
僕の場合は100万ちょいの蓄えがある状態で働きながらつくっていました。
働きながらなので食べていけるかどうか、という事は考えた事がなかったですね。
ただ、利益を得る自信はかなりありましたし、実際にも利益は出ました。
ですが、現実は思っていた以上に売れなかったというのも事実です。
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次に一般向けのゲームで活躍されている、サークル「AlphaNuts」のHIDEさんの解答です。
元々はRPGツクールでフリーゲームなどを製作されていて、そこからシェアウェア、さらに携帯アプリの道に進んだ人です。
———————-HIDEさんの解答———————-
◆どれぐらい蓄えてから、専業に移行したか
僕は、何の勝算も無い状態でした。
非ゲーム系のデバッグ系の仕事だったのですが、バッサリ辞めました。
貯金も特にはなく……
支えは失業保険と、武藤さんと同じく家族の理解だったかも。
当初は特に多くは望んでいなくて『家賃の半分くらい出るようになれば、暮らしは楽になるかな……』くらいの意思でした。
◆同人ゲームで生活できるようになるまで
1作目ではとても食べて行ける気はしませんでした。
2作目(女神の涙)で、一時的に大きな利益になりましたが、やはり直ぐに食べて行けるレベルではなくなり。
以降、携帯アプリになりますが、こちらもやはり1本1本では食べて行けるレベルではありませんでした。
でも途中で気付いたのですが、どれも意外な長さで売れ続けました。
具体的には、最初に作ったパソコンゲーム2本(天使・女神)は、もう完全に放置状態に近いのに、未だにそこそこです。
携帯アプリも、最初に作ったシェアウェアでも、未だに買って下さる人がいます。
毛利元就の『三本の矢』的な感じかも(例え下手で申し訳ないです m(_ _)m)
それらが8年分ほど束になったのが、今の状態です。
◆同人ゲーム専業ならではの悩み
いずれ何処かで潮目が変わるかもしれない恐怖は、今でも常に持っています。
ユーザーサポートを怠ったら終了、新技術が理解出来なくなったら終了(例えばiPhone・Android)
最初の頃、寝れなかったです。
夜に眠っても『俺は今、寝ている資格はない!』というような感じで、起きてしまいます。
人間、起きると普通は徐々に覚醒すると思うのですが、起きた瞬間に頭フル回転で、仕事が始められるくらいになってしまっていました(今にして思うと、ちょっとヤバイ精神状態かも)
余談が多くなってすみません(汗)
つまりは、背水の陣で臨んでしまった、という一言で説明が付きます(^-^;
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※コミュニティ管理人、武藤FPのコメント※
記事には書いていない事も含めて、インタビューした二人には次の共通点があります。
・ある程度知名度が上がる、または売上ができてから専業になった
・家族の理解と支援を受けた
・最新作以外の売上も侮れない
これに関して僕の意見を話そうと思います。
>ある程度知名度が上がる、または売上ができてから専業になった
ご存知ゲーム制作は、知識も時間も必要です。
そういうわけで何の経験もなく、専業になるというのは無理があるのですが・・・。
それ以外にも、ある程度経験を積んでから専業に移るというのには大切な意味があります。
それは「モノを作って売る」という経験を得ることです。
学生でもサラリーマンでも、「製品を製造して自分の責任において売る」という経験はほとんど積めないと思います。
「自分で物を売る」というのは、特殊な事なのです。
実に様々な分からないことやミスが発生します。
ゲームを作って、即売会に出したり、ダウンロードサイトに登録したり、同人ショップに委託販売する。
こういった売るための事をひと通りやって、自分のレベルや状況が分かるのです。
そうして初めて、何をすべきか、今後どうしようかとかが具体的に考えられるようになります。
フリーゲームから転向する人は、今までの作品のリメイクとかでもいいので、とにかくシェアウェアを売ってみる事をお勧めします。
>家族の理解と支援を受けた
家に住んで家賃を浮かすだけでも相当違うはずです。可能性があるのなら、本気で家族の説得に挑むべきです。これ本当に重要です。
なおこれは、逆に自分が家族を養う身分の時も絶対にやるべき事です。説得せずにやると、後で泥沼になりかねません。
>最新作以外の売上も侮れない
僕もこれは経験済みです。
同人ゲームの場合は、独自性と需要があれば長く売れ続けるのではないかと思います。
最後にインタビューを快く受けてくださった、成功者AさんとHIDEさんに感謝します!
これを読んだ方も、夢に近づけるように願っています!